柳之御所遺跡は、一方を北上川、三方を堀で囲まれ、清衡、基衡の屋敷跡と伝えられていました。1988年からの発掘調査では、政治を行った町の心臓部、『吾妻鏡』に記された「平泉館（ひらいずみのたち）」の可能性が高いそうです。中国産の陶磁器も発見され、海外との貿易も明らかになりました。
しかし、遺跡は雪の中。数名の作業員が懸命に雪かきをして、看板までのルートを作ってくれますが、絶えず雪が舞い上がります。それでも、フードをかぶり、吹雪に背を向けながら遺跡を観光。雪国の冬は厳しいなぁと実感しました。それでも、ご安心ください。




近くに資料館があり、展示や映像を使って、当時の様子を再現しています。館には2つの建物がありました。細長い東の建物は武家風の造りで家来たちと面会し、西の建物は蔀戸などが使われ、都からの客人をもてなす場所でした。

西の建物からは、金鶏山を借景にした庭園が眺められ、隣の広場では儀式や馬見せが行われていました。そして、大量に発見され、専門家を驚かせたのが、（↓）かわらけ。使い捨ての盃です。総重量10トン分と言いますから、どれほど宴会が行われていたことか！（笑）


でも、これは重要な政治の一部でした。つまり、家来たちの労をねぎらうために酒を振る舞い、都からの客人には宴会とともに、金やアザラシの皮、鷲の羽などを贈って、平泉の繁栄を示すとともに友好な関係を保つ。奥州藤原氏はこうして平泉の平和と安定を築いたのです。
ここも世界遺産になってもよいと思いましたが、あくまでも、「浄土思想」というテーマにこだわり、政治の舞台は外したのでしょう。春以降、新たな発掘調査に注目したいと思います。